指揮者の柳澤さんとロマの少年たちと (4)

本番当日(11月8日)はアルバニアの共産党が創設された日。20年前まで鎖国していたこの国の一定年齢の人たちには思い出深い日なのです。

会場はシェイクスピアのグローブ座のような、舞台が客席に囲まれる形になっている劇場。3年前に建てられたらしくて、雰囲気もあってなかなか良いところ。

でも、ティラナの市長が選挙で負けて民主党の新しい人になったので、劇場長もクビになって話が振り出しに戻りそうになったり、色々あった。

ともあれ、本番前リハーサル。

ロマのこたちの興奮のボルテージは上がりっぱなし。当日、同じ会場でプロジェクトの写真展やビデオ上映もしたんだけど、自分が大きな写真になったりビデオに出てるのを見て、テンションがよけいに上がったんだと思う。。。お花がきたり、旗が掲げられて会場のセットアップが進んだりもあってギアが入れ代ったのかもしれない。。。

自分もマイクが欲しいだの、音量が小さいだのと言いだす。。心配だなあ。。。

ゲネプロ終了後、本番まで少し時間があったから、私はロマのこたちをコーヒーに連れ出すことにした(というか、野に放って時間になっても帰ってこなかったら困るから)。

柳澤さんも一緒にきて下さって、近所のカフェへ行く。

でも、どうしよう。。。うーん、この面子でナニ話すんだろう。。会話が成り立つだろうか。。場が持つだろうか、、。考える裏方をよそに、カタコトの英語とカタコトのアルバニア語で、なんだかちょっとぎこちないけど、でもほのぼのと和んだ雰囲気になっていく。

何度も集合時間を確かめて別れる。


そして、いよいよ本番。会場はお客さんで満員!ロマのコミュニティ、アルバニア政府、外交団や在イタリア日本大使館の方々も足を運んで下さった。アルバニアのメディアもたくさん取材にきてくれた。

で、うちのロマのこたちに目をやると、なんだかますます興奮気味。しかも、きっちり本番用の衣装に着替えてるし。ルフタール(ボーカル)はなんだか結婚式の新郎みたい。上下銀色。

「ともこ、どうだ僕のこの衣装は?いいだろう?」

「、、、。うん、いいんじゃない?」。流す。わたしも緊張と疲れと、大丈夫かなという不安で相手にできなかった。ごめんよ。

最初は柳澤さんとコソボ管弦楽団の演奏。

ふだんクラシックを聴かない人たちに届ける音楽。聴衆もちょっと緊張したり、音楽そのものに対してめずらしそうな雰囲気があった。

その次は、ロマの少年たちが呼ばれて入ってくる。やる気まんまんな感じ。おねがい、練習通りにやってね、、、、。

、、、。祈りは届かなかった。。。



つづく!(次回最終回)


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